産業廃棄物収集運搬業許可の要件について
産業廃棄物収集運搬業を営もうとする場合には、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
その場合、産業廃棄物を排出する事業所(収集場所)の所在する都道府県と中間処理場等の搬出先の所在する都道府県が異なる場合は、その両方の都道府県で許可を取得しなければなりません。
運搬中に通過するだけの都道府県には許可は必要ありません。
広島県においては、県外から産業廃棄物を搬入する場合、許可を有していたとしても自由に搬入できるわけではなく、県との事前協議が必要ですので注意が必要です。
さて、上記のような産業廃棄物の収集運搬業の許可を取得するためにはどのような要件を満たさなければならないでしょうか。
一般的に何らかの事業における許可要件というのは、人、物、金の3つが挙げられます。
産業廃棄物収集運搬業の許可要件も同様です。それでは、それらの概要を見ていきましょう。
申請者の関わる要件(人)
申請者に係る要件としては次の2点です。
1 新規許可講習の修了者であること
産業廃棄物収集運搬の許可を申請するためには、まず講習会を受講し、試験に合格しなければなりません。
講習会の主催は、日本産業廃棄物処理振興センターです。
講習会は二日間にわたって行われ、最後に試験を受けます。
合格すれば、修了証が交付され、その修了証の写しを許可申請時に添付することになります。
受講料は30,400円です。
令和2年6月現在、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため講習会は中止となっています。
7月から、オンラインによる講習および会場での試験という暫定的な講習会として再開されます。6月22日より受付開始されています。
通常、全国どこの会場でも受講できますが、暫定講習会の試験会場は、申請者の所在する都道府県でのみに限定されていますので注してください。
2 欠格要件に該当しないこと
以下の要件に該当しない必要があります。
- 心身の故障により業務を適切に行うことができない者
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わり、5年を経過しない者
- 廃棄物処理法、浄化槽法等で罰金の毛に処せられ、5年を経過しない者
- 産廃業の許可を取り消されその取り消しの日から5年を経過しない者
- 事業の全部の廃止の届出をしたもので届出の日から5年を経過しない者
- 暴力団員、又は暴力団で亡くなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員がその事業活動を支配するもの
施設に係る要件(物)
施設に係る要件としては、運搬車両や積替・保管用の施設、設備が、産業廃棄物の処理をするための目的を果たすために適切なものかどうかということです。
産業廃棄物の性状、形状、固体か液体かによって適切な施設、設備を選ばなければなりません。
次の事項に留意し、施設を準備しましょう。
- 産業廃棄物が飛散、流出、および悪臭が漏れる恐れのない運搬車、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
- 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること
- 施設を継続的に使用する権原を有すること
- 家畜の死体の収集・運搬の場合は、腐敗の進行を防止する保冷車その他の運搬施設を有すること
- 積替・保管施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、および地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置が講じられていること
資金に係る要件(金)
産業廃棄物処理の規制は、環境問題の対策として、不法投棄等の不適正処理の対策という一面がありますが、その目的を果たすためには、継続的に安定した事業活動が必要になります。
そのためにはある程度の適切な資金や事業活動における利益が必要になります。
資金に係る基準としては、事業を的確に、かつ、継続して行うに足る経理的基礎を有している必要があり、具体的には次のようなものが挙げられます。
- 直前3年の各事業年度における損益計算書上の経常利益金額+減価償却費の額(経常利益金額等)の平均額が0以上であること
- 直前事業年度における経常利益金額等が0以上であること
- 直前事業年度において債務超過でないこと
以上が、産業廃棄物収集運搬業の許可要件ですが、実際に事業を行うため(若しくは許可申請するために)次の項目も決めておく、または予定されている必要があります。
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 1か月あたりの運搬量
- 産業廃棄物の性状性状(固形、液状、泥状等)
- 産業廃棄物の排出事業所
- 積替え、保管を行う場合の場所
- 運搬先(予定している処理場の場所)
- 営業の範囲(広島県内等)