優良産廃処理業者認定制度について
優良産業廃棄物処理業者認定制度とは、通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした産廃処理業者を「優良」なものとして、都道府県または政令市が審査して認定する制度です。
不法投棄や不適切な処理により環境に悪影響を与えるなど問題となることが数多く見られていました。
近年、不法投棄等は減少傾向にありますが、信頼して廃棄物の処理を任せることができる業者を選ぶための指針として、または安心して廃棄物の処理を任してほしいというアピールになるというメリットのある制度であると考えられます。
それでは、優良産廃処理業者認定制度について、詳しく見ていきましょう。
優良産廃処理業者として認定を受けるメリット
優良認定を受けることで、社会的な信頼性、取引先からの信頼性が向上することや手続き上においても、いくつかのメリットが挙げられます。
信頼性の向上
優良認定を受けますと、広島県のホームページで公表されます。
また、産業廃棄物処理業の許可証に、「優良」の文字が入ります。
これらにより、社会的な信頼性が向上するとともに、排出事業者に対して、自身が優良登録を受けた産廃処理業者であるとアピールでき、ビジネスの拡大につなげることができる可能性があります。
産廃処理業の許可の有効期限の延長
通常産廃処理業の許可の有効期限は5年間ですが、優良認定を受けると7年間に延長されます。
これにより、事務手続きの負担軽減につながります。
許可の更新申請時の点書類の一部省略
優良認定申請は更新申請のときに同時に行うものです。
その場合、更新申請に係る次の添付書類を省略することができます。
- 事業計画の概要を記載した書類
- 直前3年の各事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、法人税を納付すべき額及び納付額を証する書類
- 定款または寄付行為
- 処分後の産業廃棄物の処理方法を記載した書類(処分業のみ)
また、県外からの産業廃棄物の搬入に係る事前協議の手続きにおける書類の大半が省略可能になります。
優良産廃処理業者として認定を受けるための基準
優良認定を受けるためには、通常の許可よりも厳しい基準が課せられます。
遵法性に係る基準
すでに取得している産業廃棄物処理業の許可の有効期間、すなわち5年間において、産業廃棄物処理法に基づく改善命令等の不利益処分を受けていないことが求められます。
改善命令を受けるということは、少なからず違法性が認められるということですから、そのような場合は、優良認定を受けることはできません。
事業の透明性に係る基準
事業の透明性とは、企業の様々な情報をインターネットを利用して公開しているかどうか、また所定の頻度で更新されているかどうかを問われます。
公開すべき情報としては次のようなものが挙げられます。
- 法人の基礎情報
- 取得している許可の内容
- 廃棄物処理施設の機能、維持管理状況
- 産業廃棄物の処理状況
これらの情報を次のような期間公開する必要があります。
- 優良認定を申請するときは、産業廃棄物処理業の許可の更新の申請の日前の6か月間
- すでに優良認定を受けている事業者が、再度、優良認定の申請をする場合は、優良認定業者としての許可を受けた日から申請の日までの間
環境配慮の取り組みに係る基準
環境配慮の取り組みとは、環境の保全や環境問題に対する取り組みのため管理するための仕組み等を有しているかどうかを判定するものです。
国際的な基準として、ISO14001に認証を受けるか、若しくは、環境省が策定したエコアクション21の認証を受ける必要があります。
ISOの認証を受けるのは、多くの企業にとって結構なハードルで、事務的な負担、金銭的な負担も大きいものです。
エコアクション21は、ISO14001をベースにしていますが、中小企業が取り組みやすいように工夫されており、費用についてもISO14001の10分の1程度となっています。
簡単なものではありませんが、今後の事業を持続させていくためにもチャレンジしてみてもいいかもしれません。
電子マニフェストに係る基準
電子マニフェストシステムに加入しており、電子マニフェストが利用できる状態でなければなりません。
マニフェストとは、産業廃棄物処理に必要な書類であり、排出業者、収集運搬業者、処分業者がそれぞれの過程でチェックすることで適正な処理を行うようにするためのものです。
もともと7枚複写の紙のマニフェストを排出事業者が発行して、それを次の業者に手渡すことで管理していますが、それを電子化したものが電子マニフェストです。
電子マニフェストを利用するためには、排出業者、収集運搬業者、処分業者すべてが電子マニフェストを使用できるようになっていなければなりません。
そのため、いまひとつ普及が進まないということもあり、この優良認定で電子マニフェストを義務付けることで、普及を図ろうという意図もあるものと思われます。
すべての事業者が利用できれば、紙よりもずいぶん便利なものになることは間違いないでしょう。
財政体質の健全性に係る基準
財務体質については次の3項目を満足していなければなりません。
- 直前3年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が10%以上であること。
- 直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が0(ゼロ)を超えること。
- 産業廃棄物処理業等の実施に関連する税、社会保険料及び労働保険料について、滞納していないこと。
たとえ単年度で赤字であっても、3年間の平均で黒字であれば大丈夫です。
優良産廃処理業者として認定を受けるための手続き
優良認定の申請は、原則として、更新許可申請と同時に行います。
次の書類を更新時に同時に提出することになります。
- 特定不利益処分を受けていないことの誓約書(様式あり)
- インターネットでの情報公開報告書(様式あり)
- インターネットの画面を印刷したもの
- 添付書類省略申立書(様式あり)
- ISO14001又はエコアクション21の認定証の写し
- 電子マニフェストを使用していることを証する書面の写し
- 自己資本比率の基準に適合することを示す書類(様式あり)
- 経常利益金額等に係る基準に適合することを示す書類
- 産業廃棄物処理業の実施に関する税等を滞納していないことを証する書類
以上より、優良基準に適合していると認められれば、有効期限7年間の「優良」文字入りの許可証が交付されます。