産廃収集運搬業の許可申請手続きの流れについて

産業廃棄物収集運搬業を営もうとする場合には、都道府県知事の許可を受けなければなりません。

その場合、産業廃棄物を排出する事業所(収集場所)の所在する都道府県と中間処理場等の搬出先の所在する都道府県が異なる場合は、その両方の都道府県で許可を取得しなければなりません。

運搬中に通過するだけの都道府県には許可は必要ありません。

広島県においては、県外から産業廃棄物を搬入する場合、許可を有していたとしても自由に搬入できるわけではなく、県との事前協議が必要ですので注意が必要です。

さて、上記のような産業廃棄物の収集運搬業の許可申請手続きの流れはどのようなものでしょうか。
順番に詳しく見ていきましょう。

取り扱う産業廃棄物の種類を決めましょう

まずは取り扱う産業廃棄物の種類を決めましょう。

産業廃棄物収集運搬業を始めようと思ったきっかけは様々だとは思いますが、たとえば、取引先からの依頼であったり、ビジネスの拡大のためであったり、どのような場合でも大まかなイメージはついていると思います。

若しくは運搬車両を有していて、その車両で取り扱うことのできる廃棄物を選択するような場合もあるかもしれません。

ただし、産業廃棄物は、法律上21種類に分類されており、さらに取り扱いに注意を要する特別管理産業廃棄物というものもあります。

それぞれ種類に応じて規制が変わる場合もありますので、ご自身が取り扱おうとしている産業廃棄物がどの種類に属するか把握しておくことが重要です。

どの種類に属するか迷う場合には、専門家若しくは、許可行政庁の担当窓口に問い合わせてみましょう。

以下に産業廃棄物の種類を示しますのでご確認ください。

種類 内容 具体例
1 燃え殻 事業活動に伴い生ずる石炭柄、灰かす、焼却残灰、炉清掃排出物等 廃棄物焼却灰、灰かす、石炭がら、コークス灰、重油燃焼灰、炉清掃排出物等
2 汚泥 工場排水等の処理後に残る泥状のもの及び各種製造業の製造工程において生ずる泥状のもので、有機性及び無機性のすべてのもの ①有機性汚泥 下水汚泥、ビルピット汚泥、消化汚泥、製紙スラッジ、活性汚泥等 ②無機性汚泥 めっき汚泥、粉砕スラッジ、ベントナイト汚泥、石灰かす、活性炭かす、廃脱硫剤等
3 廃油 鉱物性油及び動植物性油脂に係る全ての廃油 潤滑油系廃油、切削油系廃油、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、動植物油系廃油、廃溶剤類、廃可塑剤類、燃料油系廃油、タンカー洗浄廃水、タールピッチ類、印刷インキかす等
4 廃酸 廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類をはじめとするすべての酸性廃液 (中和処理した場合に生ずる沈殿物は汚泥として取り扱う) 硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、酢酸、クエン酸、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液、写真漂白廃液
5 廃アルカリ 廃ソーダ益をはじめとするすべてのアルカリ性廃液 (中和処理した場合に生ずる沈殿物は汚泥として取り扱う) 石灰廃液、アルカリ性メッキ廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、アンモニア廃液、写真現像廃液、か性ソーダ廃液等
6 廃プラスチック類 合成高分子系化合物に係る固形状及び液状のすべての廃プラスチック類 廃ポリウレタン、廃ベークライト(プリント基板等)、廃スチロール(発砲スチロール含む)、廃農業用フィルム、各種合成樹脂系包装材料のくず、廃合成皮革、廃合成建材(タイル、断熱材、合成木材、防音材等)、合成繊維くず(ナイロン、ポリエステル、アクリル等)、廃ポリ容器類、電線の被覆くず、廃タイヤ、ライニングくず、廃ポリマー、塗料かす、接着剤かす等
7 紙くず 【業種指定】 ①建設業に係るもの(工作物の新築、改築、除去に伴なって生じたものに限る) ②パルプ、紙、紙加工品製造業、新聞業(新聞巻き取り紙を使用して新札発行を行う者に限る)に係るもの ③出版業(印刷出版を行う者に限る)に係るもの ④正本業及び印刷物加工業に係るもの ⑤PCBが塗布され、又はしみ込んだ者 印刷くず、製本くず、板紙、裁断くず、旧ノーカーボン紙等、建材の包装紙、建築現場から排出される紙くず等
8 木くず 【業種指定】 ①建設業に係るもの(工作物の新築、改築、除去に伴なって生じたものに限る) ②木材又は木製品製造業(家具の製造業を含む)に係るもの ③パルプ製造業及び輸入木材の卸売業に係るもの ④物品賃貸業に係るリース物品 ⑤貨物の流通のために使用したパレット ⑥PCBがしみ込んだもの 建設業関係の建物、橋、電柱、工事現場、飯場小屋の廃木材(工事個所から発生する伐採材や伐根を含む)、木材、木製品製造業関係の廃木材、おがくず、バーク類、梱包材くず、板切れ、廃チップ、リース事業者から排出されるリース物品(家具、器具等)、
9 "繊維くず 【業種指定】" ①建設業に係るもの(工作物の新築、改築、除去に伴なって生じたものに限る) ②繊維工業(衣服その他の繊維英品製造業を除く)に係る天然繊維くず ③PCBがしみ込んだもの 畳、じゅうたん、木綿くず、綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、不良くず、落ち毛、みじん、くずまゆ、レーヨンくず等、ロープ、建設現場から派出される繊維くず等
10 動植物残さ 【業種指定】 食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業(たばこ製造業を除く) 医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物 (魚市場、飲食店等から排出される動植物残差または厨芥類は、事業活動に伴って生じた一般廃棄物に該当) ①動物性残さ(魚・獣の骨、皮、内臓等のあら、ボイルかす、うらごしかす、缶詰・缶詰不良品、乳製品精製残さ、卵から、貝殻等) ②植物性残さ(ソースかす、しょうゆかす、こうじかす、酒かす、ビールかす、あめかす、糊かす、でんぷんかす、豆腐かす、茶かす、米・麦粉、大豆かす、果実の皮・種子、野菜くず、薬草かす、油かす等)
11 動物系固形不要物 【業種指定】 と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜および食鳥処理場において食鳥処理をした食鳥に係る固形状の不要物 と畜場において処分した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥
12 ゴムくず 天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類) 切断くず、裁断くず、ゴムくず、ゴム引布くず
13 金属くず 鉄くず、空き缶、スクラップ、ブリキ、トタンくず、箔くず、鉛管くず、銅線くず、鉄粉、バリ、切削くず、研磨くず、ダライ粉、半田かす、溶接かす
14 ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず 「コンクリートくず」は、工作物の新築、改築、又は除去に伴なって生じたものは除く(がれき類に該当) ①ガラスくず 廃空きびん類、板ガラスくず、破損ガラス、アンプルロス、ガラス繊維くず、カレットくず、ガラス粉、ロックウールくず等 ②コンクリートくず 製品の製造過程等で生ずるコンクリートブロックくず、インターロッキングくず等 ③陶磁器くず 土器くず、陶器くず、石器くず、磁器くず、レンガくず、断熱レンガくず、レンガ破片、瓦破片等 ④廃石膏ボード
15 鉱さい スラグ(高炉・平炉・転炉・電気炉等の残さい)、キューポラ溶鉱炉のノロ、不良鉱石、不良石炭、鉱じん、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂(塗料かす等を含むものを除く)等
16 がれき類 工作物の新築、改築又は除去に伴なって生じたコンクリート破片、その他これに類する不要物(もっぱら土地造成の目的となる土砂に準じたものを除く) コンクリート破片、レンガ破片、ブロック破片、瓦破片、アスファルトがら、廃スレート等
17 動物の糞尿 【業種指定】 畜産農業に該当する事業活動に伴って生じた動物の糞尿 牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等の糞尿等
18 動物の死体 【業種指定】 畜産農場に係る事業活動に伴って生じた動物の死体 牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等の死体
19 ばいじん 電気集塵機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト等
20 産業廃棄物処理物 産業廃棄物処理物 "有害汚泥のコンクリート固形化物 化製場での化製処理により発生した廃肉骨粉"
21 輸入された廃棄物 輸入された廃棄物

施設、設備を準備しましょう

廃棄物の運搬車両、運搬容器、積替え・保管をする場合には積替え施設や保管施設を準備しましょう。

すでに所有している場合は、扱おうとする産業廃棄物に適切なものかどうか確認しましょう。

具体的には次のような基準を満たしたものでなければなりません。

  • 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること
  • 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要なを講じた施設であること
  • 施設を継続的に使用する権原を有すること
  • 家畜の死体の収集・運搬の場合は、腐敗の進行を防止する保冷車その他の運搬施設を有すること
  • 積替・保管施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、および地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置が講じられていること

講習会を受講しましょう

講習会は、上にあげた産業廃棄物の種類や施設の準備をする前に受講しても構いません。

講習会を受講、試験に合格し、修了証を入手しないと許可申請をすることはできません。

修了証には有効期限があり、5年を超えると無効になってしまいますので、その前に申請をしましょう。

講習会は、日本産業廃棄物処理振興センターが行っています。

二日間にわたって行われ、最後に試験を受けます。

合格すれば、修了証が交付され、その修了証の写しを許可申請時に添付することになります。

受講料は30,400円です。

書類の収集と作成に取り掛かりましょう

講習会の修了証が送られてくるまで、およそ3週間かかるます。 その間に申請に必要な証明書の収集や申請書の作成を行いましょう。
必要な書類の詳細は、

産廃収集運搬業の許可申請に必要な書類

にて、詳しく解説していますのでこちらも合わせてご確認ください。

窓口に申請書を提出しましょう

申請窓口は、広島県の窓口8か所と、政令指定都市の広島市、中核市の呉市、福山市の3か所、合わせて11か所あります。

広島市、呉市、福山市に申請するのは、それぞれ市内で業を行う場合です。

ただし、積替・保管を含まない場合は、広島県の許可で3市を含むすべての広島県内で営業を行うことができます。

広島県内の窓口は次のとおりです。

  • 広島県の窓口
事業場の所在地 申請窓口 住所、電話番号
大竹市、廿日市市 西部厚生環境事務所 環境管理課 〒738-0004 廿日市市桜尾二丁目2番68号
0829-32-1181
府中町、海田町、熊野町、坂町、安芸高田市、北広島町、安芸太田町 西部厚生環境事務所 広島支所衛生環境課 環境管理係 〒730-0011 広島市中区基町10番52号
082-228-2111
江田島市 西部厚生環境事務所 呉支所 衛生環境課 〒737-0811 呉市西中央一丁目3番25号
0823-22-5400
竹原市、東広島市、大崎上島町 西部東厚生環境事務所 環境管理課 〒739-0014 東広島市昭和町13番10号
082-422-6911
三原市、尾道市、世羅町 東部厚生環境事務所 環境管理課 〒722-0002 尾道市古浜町26番12号
0848-25-2011
府中市、神石高原町、福山市に住所を有する者の収集運搬業の県知事許可に関すること 東部厚生環境事務所 福山支所衛生環境課 環境管理係 〒720-8511 福山市三吉町一丁目1番1号
084-921-1311
三次市、庄原市 北部厚生環境事務所 環境管理課 〒728-0013 三次市十日市東四丁目6番1号
0824-63-5181
広島市,呉市又は県外のみに住所を有する者の収集運搬業の県知事許可に関す ること 県庁 産業廃棄物対策課 〒730-8511 広島市中区基町10番52号
082-513-2963
  • 広島県内の政令市
事業場の所在地 申請窓口 住所、電話番号
広島市 広島市産業廃棄物指導課 〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
082-504-2225~6
呉市 呉市環境政策課 〒737-8501 呉市中央四丁目1番6号
0823-25-3302
福山市 福山市廃棄物対策課 〒720-8501 福山市東桜町3番5号
084-928-1168

審査の間は待ちましょう

書類を受理してもらえたら後は待つしかありません。

提出から許可が下りるまでの標準処理時間は、広島県では公表されていないようですが、およそ60日程度となっています。

審査の途中で、追加で説明や資料を求められた場合は、それよりも長くかかることがあります。

許可が下りると許可証が交付されます

許可証が交付され、運搬車両に、許可番号等を表示することで産業廃棄物収集運搬業を開始できます。

産廃収集運搬業許可に関わる手続きのことなら何なりとお申し付けください。

お問い合せ

広島県産業廃棄物収集運搬業許可申請支援窓口は、広島県三原市の行政書士すがはらあきよし事務所により運営されています。